7月10日は納豆の日

個性豊かな県内の納豆メーカー4社を紹介

白いご飯にかけて食べる至福の味、納豆。群馬県は納豆の消費量が全国でトップ10に入るほどの納豆好き。7月10日は、語呂合わせも良い「納豆の日」(全国納豆協同組合連合会制定)。個性豊かな県内の納豆メーカー4社を紹介する。 (谷桂、上原道子)

下仁田納豆(下仁田)
ふっくらして食べごたえある 原材料にこだわった見事な逸品

県産大豆を使った「妙義山」、十石みそダレの付いた「十石峠」を持ってほほ笑む南都隆道社長と妻で総務担当の由美さん

香りのいい赤松の経木に包んだ三角形の下仁田納豆(下仁田町馬山)は、県産や国産の選りすぐりの大豆を備長炭を使った「室」で発酵させる。ふっくらして柔らかいのに歯ごたえもあり、かき混ぜると良く粘る逸品だ。

1963年、下仁田の地で創業。最初は、「なっとーう、なっとう」と、引き売りから始まった。その後、家族そろっての朝食が少なくなり、バブル崩壊した時代に、当時サラリーマンだった南都(なんと)隆道社長(59)が父から引き継ぐ。販路を探すも上手くいかず失意の中、出会ったのが人気の「三之助とうふ」を作っていたもぎ豆腐店(本庄市)の茂木稔さん。「安ければ売れるだろうという甘い考えを一蹴したこの出会いが全ての始まりでした」と南都社長は語る。

「納得いく良質な国産材料を使用し、それに見合う値段を付けることと、商売に誇りを持つことを教えてもらい、納豆作りに情熱を傾けた」という。同社は、知名度がアップし、納豆の品質も向上。現在は、北海道から沖縄まで販売している。「知らぬ間に茂木さんが弊社の納豆をサンプルとして百貨店に届けてくれたのです」と南都社長。「百貨店に販路が拡大し、おかげで広がったという訳です」という感動のエピソードを持つ。現在は、製造の品質を安定させ供給する高い目標を掲げている。

商品は、県産大粒大豆を使用する「妙義山」(有田屋醤油のタレ付き・税込194円)や、同じく県産大粒大豆で上野村の「十石みそ」をベースにしたタレが付いた「十石峠」(同194円)など大粒、中粒、小粒のラインナップが揃っている。

■納豆工場はこうなっている!

県産や国産など良質の大豆を水に浸し、圧力釜で蒸して、そこにジョウロで納豆菌を散布。手作業で経木に入れ=写真①、その後、備長炭とやかんの蒸気で温度・湿度管理をした「室」で発酵=同②。熟成させたものを、包装して出荷する。

■下仁田町馬山南田5910 電話:0274-82-6166
   HP:https://www.shimonita-natto.jp/

上州農産(前橋)
理想を追求したら自ら畑に出ていた なっからうんめぇ! 粕川なっとう

㊧赤城山のふもと粕川で育った豆を自家栽培した「ひきわり納豆」とパッケージ。㊨国産白大豆、黒大豆を「逢わせた」納豆。

前橋市粕川町にある上州農産(松村省児社長)。「なっからうんめぇ!・粕川なっとう」を作るのが、専務の松村徳崇さん(39)。東京の大手広告代理店や建築会社に勤務し、海外赴任をするエリートサラリーマンだったが、ある日、実家の両親から、「納豆作りを手伝ってほしい」と連絡が入った。

「群馬の人は、山や自然などのお宝を持っていることに気付いていない」と感じていた松村さん。「赤城山の豊かな恵みがある粕川から生まれる納豆を追求したい」と、原料にこだわる理想の納豆作りに取り組んだ。その結果、自ら畑を耕して自家栽培の大豆を作る。さらにパッケージや製造機械も「全部自前」で突き進んだ。

広がった大豆畑は、現在、約24㌶(東京ドーム約5個分)に成長。納豆は、県外の高級スーパーでも人気に。大粒をはじめ、「ひきわり納豆」や白黒の粒が合わさった「逢わせ納豆」(大粒・小粒)は、温泉旅館でも提供。今後は、「贈りたくなる納豆、思い出に残る納豆を作りたい」と意気込む。

■工場直売所 前橋市粕川町西田面126-6 電話:027-212-6300
   HP:http://joshunousan.jp/

まるだい(前橋)
大正8年創業 国産大豆+赤城山系の水+オリジナル納豆菌

「おいしい小粒納豆」(まるだい提供)
「まじめな大粒納豆」(40g×2)は群馬県ふるさと認証食品にも

前橋市富士見町の「まるだい」は、1919(大正8)年創業の老舗メーカー。前橋市産の大粒大豆「タチナガハ」から生まれる「まじめな大粒納豆」は、大粒好きにたまらない一品。県内のスーパーなどで販売され、酒の肴としても人気という。前橋市が推奨する食のブランド「赤城の恵」認証品となっているほか、ふるさと納税の返礼品にも。

納豆鑑評会受賞歴のある「おいしい」シリーズ各種

また「おいしい小粒納豆 北海道産」は全国納豆鑑評会において特別賞受賞、「おいしいひきわり納豆 秋田県産」も鑑評会のひきわり部門で1位を獲得したことがある。

同社代表取締役の柳澤和世さんは、「『納豆に仕上げた時に美味しい国産大豆』を探求。赤城山系の水とオリジナル納豆菌で大豆のうまみを引き出すよう日々努めています。ぜひ、一度ご賞味ください」と話す。

■前橋市富士見町小暮1606 電話: 0120-710-584
HP:https://www.marudais.jp/ ※県内のスーパーなどで販売中

 

加豆フーズ(みどり)
低温でじっくり発酵&12時間熟成 味付、アイスなど新商品も続々

㊨フリーズドライ納豆が入ったこんにゃくアイイス3種(バニラ・コーヒー・マンゴー)㊧袋から出せばすぐに食べられる「味付なっとう」

みどり市の加豆フーズ(加藤進取締役社長)は、1996(平成8)年創業。「『見た目』『香り』『食感』『食べやすさ』すべてが楽しめる納豆を」をモットーに納豆づくりを行う。国産大豆と厳選した納豆菌を使用し、温・湿度管理を徹底した部屋で低温熟成させることで、納豆本来の味を引き出す製法にこだわる。低温で約20時間じっくり発酵させた後、さらに12時間熟成させている。

新商品開発も積極的に行う。給食センターの栄養士の声により誕生した「味付なっとう」は、たれの小袋を開封する手間がなく誰もが手軽に納豆を楽しめるヒット商品。地元のアイスメーカーとコラボしたこんにゃくアイスのバーも話題だ。溶けないアイスに自社製のフリーズドライのひきわり納豆をブレンド。加藤一行専務は、「生きた納豆菌が入っておりヘルシーで罪悪感なくスイーツが食べられますよ」と話す。
■みどり市笠懸町阿左美1940 電話 :0277-76-3172
ネット通販(https://katofoods.thebase.in)あり 

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