朝日新聞の人情記者 小泉編集委員が新刊出版

絶滅なんぞしてたまるか!

「絶滅危惧種記者 群馬を書く」

小泉編集委員の新刊「絶滅危惧種記者 群馬を書く」(コトノハ)

「絶滅なんぞしてたまるか!」と心の底から絶叫しながらしたためた「魂の群馬本」がついに発売された。

著者は朝日新聞読者ならお馴染みの朝日新聞編集委員兼前橋総局員の小泉信一さん(61)。2020~22年に朝日新聞・群馬版に掲載された記事を、新刊「絶滅危惧種記者 群馬を書く」(コトノハ)として、12月15日に出版した。

書籍には、どこのガイドにも載っていないような群馬愛に満ちた奥深く思わずクスリと笑いたくなるエピソードが満載。大衆文化担当のベテラン編集委員として綴ってきたこれまでの人気記事をテーマごとに厳選している。

新聞は、主に事件や政治経済、国際問題を扱うが、小泉さんが取材するのは、街角の光景や笑い、悲しみ、泣き、怒るといった感情をもった市井の人々の生活や人情の機微が中心だ。読んだ人は、「人間っていいなあ」「生きるって素晴らしいな」という思いが自然に込み上げてくる。それらの記事が、毎日の新聞を一層豊かな読み物にしてきた。

本のページをめくると、「街ダネは新聞の命」や「群馬で見聞きしたミステリー、怪異譚」などの興味深いタイトルに読みたい思いで一杯になる。小泉さんは「筆が鈍ったら温泉でリモートワーク」し、「海なし県なのに消費量の高い群馬ならではの上質のマグロに舌鼓を打つ」など独自の「小泉節」で群馬イズムを構築していく。

さらに読み進めると、最初の赴任地、前橋支局で30年前に執筆した「朝日ぐんま」のコラムも登場。若さあふれる着任当時の小泉さんが初々しい。さらに、社会問題を描くルポライターの鎌田慧氏が寄せた特別寄稿は、読み応えたっぷり。

小泉編集委員は、「長い新聞記者人生ですが、再び群馬に戻り記事を書いていることに『運命』のようなものを感じます。群馬の魅力がつまった一冊。ぜひ手にとって読んで下さい」と呼び掛ける。本体価格1500円(税別)、四六判、本文192頁。(谷 桂)

小泉信一朝日新聞編集委員(大衆文化担当)兼前橋総局員
1961年神奈川県川崎市生まれ。列島放浪後の88年、朝日新聞社入社。大衆文化担当記者を経て編集委員。2021年4月から前橋総局員を兼務。「東京下町」「寅さんの伝言」「裏昭和史探検」など著書多数。

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