二十歳の門出 祝うイベント各地で

「成人式」から「祝う会」「つどい」へ
前橋、高崎、太田、館林、沼田の式典実行委を紹介

1月9日、成年年齢が20歳から18歳に引き下げられてから初めての「成人の日」を迎え、この日を含む連休に全国各地で二十歳を祝う記念行事が開かれた。県内35の自治体のうち32市町村は1日早い8日に、嬬恋村では当日に開催(草津町は昨夏に実施、上野村は今夏に実施予定)。また、多くは式典の名称を「成人式」から「二十歳のつどい」「20歳を祝う会」などに変更した。前橋、高崎、太田、館林、沼田の各式典を、運営に携わった実行委員長のコメントとともに紹介する。

対象はこれまで通り20歳のみ
改正民法は昨年4月1日に施行され、同日以降に18歳になる人(2004年4月2日以降生まれ)は18歳の誕生日から、19、20歳になる人は施行と同時に「成人」となった。そこで、「成人式」の参加対象者を18歳からにするのか、従来通り20歳のみにするのかなど全国各地で議論となったが、群馬では35市町村すべてが22年度に20歳となる人(02年4月2日~03年4月1日生まれ)を対象とした。前橋市は20歳のみに決めた理由として、18歳で実施した場合、多くが高校生で進学や就職に向け忙しい時期にあたり参加者の減少が見込まれることなどを挙げている。県の発表によると、今年の対象者は19620人で、昨年より696人減少。過去10年で初めて2万人を割った。

はたちのつどい企画運営委員会のメンバー

前橋市
第1回 前橋市はたちのつどい

前橋市は日本トーターグリーンドーム前橋で午前・午後の2回に分けて実施。これまでの「成人祝」から「はたちのつどい」に変更した。24人の企画運営委員が半年間にわたり内容を検討、当日の運営までを行った。全体のテーマを「まなび」とし、第1部では社会に出ていくにあたり知っておいたほうが良い「お金」に関する話を映像で紹介。第2部の式典に続く第3部では、会社員、起業家、プロサッカー選手を招き、事前に来場者から集めた質問に対して答えてもらうインタビューを行った。また、同式典のポスターコンテストや、SNSを使った写真投稿キャンペーンのほか、前橋公園にだるまを設置し「夢」を書き込んでもらうなど、アイデア満載のオリジナル企画が展開された。

第3部のプログラム「はたちのあそび」では、前半に前橋出身の社会人をゲストに招きインタビューを行った
(写真は午前の部の様子)

同「はたちのあそび」後半に行った抽選会の様子

企画運営委員会委員長
川島 穂野香さん(20)さん
大学生、前橋市在住
全体のテーマを「まなび」とし、前橋で活躍する20歳の来場者が親しみを感じられるような企画を実施。少し年上の人生の先輩方から「仕事と生活」について踏み込んだお話も伺いました。

委員長として全体をまとめていくことの大変さも痛感しましたが、全プログラムが終わった瞬間、半年間頑張ってきたことが報われた気がしました。委員を経験したことで、大勢で同じ方向を向いて何かひとつのことを成し遂げることの大変さや喜びを再認識。大学生になりごく限られたコミュニティの人たちとの関わりが多くその中で忘れかけていた感情を思い出すことができました。これからは社会人の一員としてさらに自分の発言や行動に責任が伴うようになります。支えてくれた家族や友人たちをはじめ周囲の方々への感謝を忘れずに強く生きていきたいと思います。

 

高崎市
二十歳(はたち)の集い

「二十歳の集い」第1部企画委員のみなさん

高崎市は地区別に市内7カ所で開催。「高崎地区」では今年初めて高崎芸術劇場を会場に、出席者を2部に分散させ、同じプログラムを実施した。アトラクションでは高崎市在住のロックバンド「チェルヴェーテリ」が登場。企画委員が「自分たちと歳が近く、日々精力的に活動しているアーティストに、違う角度からエールをもらいたい」とオファーした。同バンドはこの日のために作ったという新曲を披露し、会場は盛り上がった。

ロックバンド「チェルヴェーテリ」
によるライブ演奏

第1部企画委員長
鈴木 駿晟(しゅんせい)さん(20)

専門学生、高崎市在住
各々が得意な分野を生かし、役割を超えて助け合いながら準備を進めた。今回、大きな行事を運営する責任と達成感を学ぶことが出来た。周りの人と協力することの大切さを忘れることなく、また、人生を楽しく過ごしていきたい。

第2部企画委員長
松尾 拓海さん(20)

大学生、高崎市在住
実施形式の変更や、初めて使用する会場、コロナ禍による制約など、様々な問題があったが大成功で収めることが出来た。人生に一回しかない式典の運営に携われたことは、人生において、とても輝かしく良い経験となった。

 

太田市
太田市成人式 ~二十歳を祝う会~

太田市民会館で開式を待つ20歳の新成人たち

太田市は、式典名に「成人式」の文字を残したが、混乱を生じさせないようサブタイトルに「二十歳」の言葉を加えた。式典では地元来賓からの祝辞をはじめ、代表者によるスピーチ「二十歳の主張」、記念DVD撮影のほか、市内企業の協賛品が当たる抽選会も行われ、当選者にはステージ上で商品が授与された。

参加者と、受付を行う実行委員ら
抽選会のようす

実行委員長
青木 円花(まどか)さん(20)

大学生、太田市在住
当日は出席者の代表として、とても重要である『二十歳の主張』をスピーチさせていただき、終えた今はとてもホッとした気持ちです。大勢の前に立ち「主張」をするという貴重な経験をしたことで自分に自信を持つことができました。今後もこの経験を活かし、何事にも積極的に取り組んでいきたいです。また、これからは人の助けや支えになることが、当たり前にできるような大人になりたいです。4月からは幼稚園の教諭になるので、周囲から信頼されるような保育者になって、たくさんの子ども達を守り、笑顔にしていきたいと思います。

 

館林市
二十歳のつどい

式典終了後のサプライズ企画として行われた「カルピスで乾杯!」(写真は第2部)

館林市は対象者から委員を公募し、実行委員会を立ち上げた。式典は館林市文化会館カルピスホールで、午前午後の2部に分散させて開催。サプライズ企画では、市内の「アサヒ飲料群馬工場」の協賛で、全員にカルピスウォーターのペットボトルが配布され、実行委員会会長の音頭により、一斉に乾杯するセレモニーが行われた。

市の観光マスコットキャラクターぽんちゃんからのお祝いメッセージを会場の新成人に伝える栗田会長

実行委員会 会長(第2部)
栗田 瑠羽(るう)さん(20)

大学生、館林市在住
自分たちの成人式を、自分たちの手で一から創り上げることに魅力を感じ実行委員になることを決めました。

コロナ対策のため大きなアトラクションはできない中、地元企業のアサヒ飲料(株)さまにご協力いただき、思い出に残る企画ができました。自分たちが考えたアイデアが実現し、多くの出席者に楽しんでもらえてとても嬉しく思います。

人生は一期一会。いくつになってもどんなに別れを経験しても、人との出会いに感謝し、縁を大切にできる大人になりたい。また、間違っていることをしっかり見極め区別のできるカッコいい大人になりたいです。

 

沼田市
二十歳を祝う会

「沼田市二十歳を祝う会」実行委員のみなさん

沼田市では、実行委員18人が企画運営を行った。利根沼田文化会館で行われた式典では、市長らによる激励の言葉を受け代表5人が「二十歳の誓い」の言葉を述べた。アトラクションとして、地元の和太鼓チーム「手九野(てくの)太鼓」が力強い演奏で会場を魅了した。また、当日に受付で参加者から募った「コロナ対策支援金」が市に贈呈された。

「手九野太鼓」による力強い和太鼓演奏

実行委員長
片野 蘭さん(20)

大学生(短大)、沼田市在住
今まで支えてくれた方々に感謝を伝える貴重な1日をより良いものにしたいとメンバーに応募しました。多くの方にご参加頂き、実行委員としても堂々とこの会を成功させることが出来ました。アトラクションは沼田市で暮らす先輩方に、二十歳を迎えた私たちを知ってもらうことと、沼田には素敵な先輩方がいて、それぞれが生きがいを持ちながら暮らしていることを知ってもらうことを目的として企画しました。実行委員の経験を通して責任を持つことで今後の自信にも繋がりました。今後は一人の大人として仕事を全うしながら、当たり前の生活が送れることに感謝し、自分らしく生きていきたいです。

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