第8回朝日中学生高校生フォトコン

大賞は高崎北高2年の木村さん

ネッツ高崎社長賞は四ツ葉学園中等4年手塚さん
学校賞は2年連続の高崎北高

第8回朝日中学生高校生フォトコン(群馬県朝日新聞グループ会、ネッツトヨタ高崎主催、全日本写真連盟群馬県本部共催)の審査が昨年12月に行われ、同フォトコンの最高賞である大賞朝日新聞社賞に高崎北高2年の木村彩姫さん(16)の「見えなくても。」が輝いた。

ネッツトヨタ高崎社長賞には、四ツ葉学園中等4年の手塚来望さん(16)の「Chupa Chupsが大好きです。」に決定。また、特別審査員の吉野信賞は富岡実業高3年の岩井大和さん(18)の「ハイ チーズ!」、特別審査員の清水哲朗賞は前橋工業高1年の荒井颯天さん(16)の「溢れ出す思い出」、朝日新聞社前橋総局長賞には富岡実業高2年の藤井花音さん(16)の「祝・二十歳」が選ばれた。なお、学校賞は入賞数が最多だった高崎北高が昨年に続き、2年連続受賞の快挙を果たした。

第8回目のフォトコンは、高校22校279人から920点、中学1校14人から20点、応募総数940点に上り、計293人の中高生から作品が寄せられた。昨年12月、朝日新聞東京本社、ネッツトヨタ高崎本社、朝日ぐんま(前橋)の3会場で行われた審査会。東京審査に立ち会った特別審査員の吉野信さんは、「素晴しい作品がたくさんありました。特に、人物を捉えたものに訴える力があったように思います」と話す。同じく特別審査員の清水哲朗さんは、「応募作も多く、被写体もバラエティに富んでいて見応えがありました。作品を通してコロナ禍から開放されつつあること、伸び伸びと撮影している様子が伝わってきます」と感想を述べた。

今年初めて東京審査と高崎審査に立ち会ったネッツトヨタ高崎の小西雅之常務取締役は「レベルが高く、意外性と驚きに満ちた審査でした。なかでも時代を反映した作品には、心を掴み離さない強さがあります。これからも色々なことにチャレンジして欲しい」と笑顔で語った。朝日新聞東京本社映像報道部の加藤丈朗部長は、「全体的に発想やアイデアの豊かさを感じました。独りよがりにならず、観る人に伝わるような表現を心掛ければ更にレベルアップするでしょう」と総評した。
※受賞者の年齢は応募時

朝日中高生フォトコン大賞朝日新聞社賞、ネッツトヨタ高崎社長賞、吉野信賞、清水哲朗賞をそれぞれ手にする特別審査員たち=朝日新聞東京本社
応募作品を真剣に審査する審査員たち=朝日ぐんま

大賞 朝日新聞社賞
「見えなくても。」
高崎北高2年
木村 彩姫 さん (16)

講評
高校生らしい発想力で「今」 の時代を映像化
朝日新聞東京本社 映像報道部長 加藤丈朗

「今」の時代性を、高校生らしい視点で切り取った素晴らしい作品ですね。思いっきり笑っている目とスマホで大きくなった口、そのバランスも良いし2人の表情も実に魅力的です。撮影時の小物として、スマホを使ったアプローチというのは多くの中高生が試みていますが、「そこに何の意味があるのか?」と首をかしげざるを得ないものも少なくありません。しかし、この作品は「マスク越しの笑顔はこうなっていたんだな」と見えない部分を敢えて可視化させたところに発想の豊かさ、着眼点の鋭さを感じます。見せ方が上手で、スマホで隠した口元からちょっとだけマスクが覗いているところも面白いですね。アイディアを思いついて、すぐに撮ったのかもしれませんが、観る人を笑顔にさせる、クオリティの高い作品に仕上がっています。

ネッツトヨタ高崎社長賞
「Chupa Chupsが大好きです。」
四ツ葉学園中等4年
手塚 来望 さん (16)

講評
工夫しているが、手を加えすぎてはいない魅力
ネッツトヨタ高崎 常務取締役 小西雅之

現代の撮影ながら、逆に昔を思い出すような作品です。印象的な目と飾らない表情。今の若い世代は撮られることに慣れていますね。大きなリボンからは大正時代などのレトロな雰囲気も感じます。背景の黒板は人物を浮き上がらせ、クラシックな書体のチョーク文字が画面を引き立てています。気になるのはピントが合っていない点。レンズ付きフィルムで撮ったような緩い仕上がりで、ストロボも直接当てています。高校生でもライティングに凝った作品が多いところ、雑な印象もありますが、それが作品によく合っています。工夫しているが手を加えすぎてはいない。そんな魅力を感じます。

吉野信賞
「ハイ チーズ!」
富岡実業高3年
岩井 大和 さん (18)

講評
パッと見て、純粋に面白い まさにアイデア勝負の1枚
写真家 吉野 信
パッと見て、純粋に面白いですよね。写真部が部員を撮るというシチュエーションは結構色々あって決して珍しくありませんが、同じポーズをしている12人全員を1枚に収めたものはありそうでなかったのではないでしょうか。部室の大きさも広すぎず狭すぎず、机の上に置かれたパソコンや文房具、カバンなども、ちょうどハマっていて良いですね。意外性があり、狙いどころが素晴らしい。まさにアイデア勝負の一枚です。

清水哲朗賞
「溢れ出す思い出」
前橋工業高1年
荒井 颯天 さん (16)

講評
強い光を生かし、きれいに仕上げたハイセンスな作品
写真家 清水 哲朗
夏の暑い日の光の強さをよくとらえ、シャボン玉がリングのようで良い感じに仕上がっています。背景に地面を入れず、ブルーと白と黒の三色で、絵画のようにきれいに仕上げたところもいい。夏の強い光だからこそ撮れたハイセンスな作品です。「溢れ出す思い出」というタイトルですが「思い」ではないのですね。被写体のポーズは悩みなどを打倒する姿勢のようにも見えます。思い出を語るにはまだまだ若いです。

朝日新聞社 前橋総局長賞
「祝・二十歳」
富岡実業高2年
藤井 花音 さん (16)

講評
色遣いが個性的な魅力ある作品
朝日新聞社前橋総局長 宮嶋加菜子

紫や白、グレーなど色遣いがとても個性的な作品だなと目を奪われました。成人式というと、普通はにぎやかな赤や金色の振袖を着た姿を想像しますが、この女性は決して派手ではない色彩の振袖をまとっています。着物や帯だけではなく、髪飾りや髪色、唇の色も白がベース。作品の持っている不思議な世界観に、思わず引き込まれました。また、背景になっている絵馬の色合いを抑えて、遠くを見つめている人物を浮き上がらせたことで、作品に物語性が生まれました。

掲載内容のコピーはできません。