震災から12年 災害想定し、ペットもいっしょに避難訓練

群馬県動物愛護センター

受付でペットの登録票や誓約書を記入する飼い主役とペット
群馬県獣医師会VMAT委員会による救護班での診察風景

東日本大震災から、明日で12年。2月5日、群馬県動物愛護センターは、玉村町樋越の同センターで、ペットと避難した人をスムーズに受け入れるための避難訓練を開いた。この訓練は、センターの動物愛護ボランティアが取り組む研修の一環で、県主催の訓練は初。

当日の訓練の想定は、「強い台風による水害で、町が開設した緊急避難所にペットを連れた町民が押し寄せている状況」。参加したのは、センター職員、県獣医師会に所属する獣医、ボランティアなど合計47人と、犬6頭、猫3頭。避難所での「受付役」、ペットを連れた「飼い主の役」を始め、飼育場所の設営などをする「飼育役」、ペットを診療する「救護役」と4つの役割に分かれ、それぞれ配置に付き訓練を進行した。

飼い主の役では、避難所で起こり得ると想定される様々なアクシデントを疑似体験した。例えば、「負傷している動物がいる」とか「出産直後の母猫と子猫を飼育する場所はあるか」などの課題(アクション)に対して飼育役や救護役など他のスタッフが協力し、課題解決しながら行動していた。

「(ペットと一緒の)同行避難への意識が高まったきっかけは、東日本大震災」と話すのは、災害派遣獣医療チームである群馬県獣医師会VMAT委員会の委員長で、今回救護班のスタッフ役も務めた獣医師の小此木正樹さん。ボランティアで訪れた福島県で飼い主と一緒に避難できなかった多くのペットが行方知れずになったり、命を落としたりする様子を目の当たりにした。ペットの同行避難への関心が高まったことで、今回の取り組みが企画された。

ペットの犬を連れて飼い主の役をしたボランティアの齋藤恵美子さん(59)は「ワクチン未接種の犬猫と飼育場所を分けてほしいという要望に対応してもらえて安心した。日頃から訓練する必要性を実感しました」と話していた。飼育役を担当した関口陽子さん(53)は「猫が緊張している様子を見て、シートや段ボールで目隠しを作ることができた」と手ごたえを感じていた。

県動物愛護センターの杢代俊枝所長は「災害時の正解はないが、訓練をすることで、より良く考えて行動することにつながればいい。今後は、各市町村にも広まってほしい」と期待していた。   (飯塚ゆり子)

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