3年ぶり復活 前橋名物片原饅頭 

街なかに新店舗オープン
次の200年に向けリブランディング  店舗やロゴデザインも一新

白を基調とした、明るく開放的な店内

江戸時代から愛されてきた前橋名物の酒まんじゅう「片原饅頭」が3年ぶりに復活! 後継者不足で2度の製造終了に見舞われたが、県内で就業支援を展開するワークエントリーの星野聡志社長(52)が事業承継し今秋、街なかに新店舗をオープンさせた。「郷里のソウルフード」を求め、多くの人が連日訪れている。

「子どもの頃から食べていたからね。酒まんじゅうはあちこちにあるけどここのは特別。嬉しいよ」 10月3日のグランドオープン日に来店した樺沢一男さん(73=前橋)は満面の笑みを浮かべた。初日は開店から1時間程で早々に「完売御礼」となった。

1832年創業の「片原饅頭志満屋本店」(同市千代田町)が販売していた片原饅頭は、地元の人に広く親しまれてきた前橋名物だったが、1996年に閉店。その後、2004年に元競輪選手の福島正幸さんが同店の職人から製法を学び再開したものの、高齢となり20年11月、再び閉店に。星野社長が県事業承継・引継ぎ支援センターから片原饅頭の事業継承を打診されたのは21年10月。紹介された福島さんの熱意に打たれ翌22年1月、自社の子会社として製造・販売会社「片原饅頭」を立ち上げた。調理師や管理栄養士免許を持つ社員と復活プロジェクトを始動。福島さんの指導の下、技術を磨き試行錯誤を重ね、1年半をかけて「納得の味」に仕上げた。

添加物を一切使わず完全手作りの「シン片原饅頭」は、酒種で自然発酵させた生地のモチッとした食感と、こし餡のスッキリした甘さ、まろやかな酒の香りが特徴だ。約200年の歴史と伝統の味を継承しつつも、温度や湿度管理を機械に置き換えるなど生産性の向上にも務めた。店舗や手提げ袋のデザインも従来の和菓子店のイメージを一新。白を基調とした店内は明るく開放的で、照明やショーケースなどもシンプルで洗練された雰囲気が漂う。親子で訪れた吉川麻和さん(37=前橋)は、「お洒落な空間でお店のロゴやパッケージも素敵」と声を弾ませた。

広瀬川サンワパーキング(城東立体駐車場)1階に誕生した新店舗にはガラス張りの厨房もあり、作業風景が見学できるようになっている。星野社長は「無添加や手作り、国産素材にはこだわるが、マニュアル化出来るところはしていく。次の200年に向けてリブランディングし、多くの人に長く愛される饅頭にしていきたい」と力を込める。月金日曜定休。予約優先で当面は箱入り6個セット(1250円)のみ販売。同店( 080-5073-5834 )。          (中島美江子)

ガラス張りの厨房で作業をするスタッフ
片原饅頭を復活させた星野社長
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