25年の蓄積とトリたちの多彩な姿を堪能して

県立自然史博物館開館25周年記念企画展「鳥がトリであるために」シーズン2

鳥トリ大行進

当館では、開館25周年を記念した企画展「鳥がトリであるために」(以下、鳥展)を2期に分けて開催しています。長年にわたり調査研究、収蔵してきた標本など約1200点を展示しています。シーズン1(7月17~9月5日)では夏のキャンプサイトでの鳥観察会をイメージした展示空間を展開しました。9月11日からスタートしたシーズン2では、深まる秋に伴い画像や映像などを秋冬仕様に変え、少し落ち着いた学びの雰囲気になっています。

会場を取り囲むようにたくさんの剥製たちが並ぶ「鳥トリ大行進」には、隠れキャラを何体か追加しました。シーズン1との違いを探してみて下さい。

マダラシロハラミズナギドリ

そして、秋冬といえば渡り鳥のシーズン。新しく設置した渡り鳥コーナーでは、記録と標本がセットになっているものとしては東日本で初、国内では3例目となるマダラシロハラミズナギドリを展示しています。この標本は、たくさんの方々の手をつたって当館に搬入されました。同コーナーでは、鳥類学者・川上和人先生(森林総合研究所)からのスペシャルメッセージも公開中です。

シメ頭骨。種子を割って食べるので、くちばしが頑丈

また、シーズン2ではトリ骨コレクションとトリ羽図鑑も夏鳥から冬鳥へと衣替え。複雑かつ繊細な骨格の形を観察すると、その暮らし方が伝わってきます。また、一見地味そうなトリでも羽図鑑で羽一枚一枚を観察すると、多彩な色・模様があることが分かります。標本をじっくり眺めながら、その鳥がどのような暮らしをしているのか想像してみてください。

陸、海、空、多様な環境に適応して暮らしている鳥たちですが、今の地球環境の急速な変化についていけず、たくさんの種類がこの地球上から絶滅し、また絶滅の危機に瀕しています。「天然記念物/レッドリスト」コーナーでは、そんな鳥たちの一端をご紹介しています。

今展では私たちヒトが地球上に誕生するはるか前から、この地球に生きてきたトリたちについて「飛ぶ」をキーワードに、いろいろな角度から取り上げました。当館25年の研究の蓄積と共に、身近に見ることのできるトリたちの多彩な姿をご堪能下さい。

県立自然史博物館 学芸員
姉崎 智子 さん

1974年、神奈川県生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科民族学考古学専攻修了(博士・史学)。京都大学霊長類研究所を経て、2005年から現職。常設展のほか、企画展「海の森」(2019年)、「食べる。」2016年)「闇夜の動物たち」(2014年)、「キノコとカビのミラクルワールド」(2012年)などを担当

県立自然史博物館(富岡市上黒岩1674・1)■0274・60・1200 ■一般800円/大学・高校生450円/中学生以下無料■12月5日まで■午前9時半~午後5時(入館は午後4時半まで)■月曜休館(月曜が祝日の場合は翌日)■関連事業11月7日午後1時半から講演会「鳥と古代人のトリドリばなし~ニワトリ・『鵜』と弥生人、地上絵の鳥とナスカ人~」、講師:江田真毅(北海道大学総合博物館 准教授)※新型コロナウイルス感染症対策のため事前予約制。状況により開催が変更・中止となる場合があります。詳細は博物館HPを確認してください

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