ベン・ベンティル

リーグ屈指の3ポイントシューターの活躍が、CS進出の鍵を握る

群馬クレインサンダーズが目標にするチャンピオンシップ(CS)に進出するためには、東地区2位以内、もしくは各地区2位を除いた東・中・西の3地区を合わせたワイルドカードの2位以内に入らなければならない。東地区の1位がA東京、2位が宇都宮といずれも32勝で、21勝のサンダーズが2位以内に入るのは難しい状況。狙うのはワイルドカード2位以内だ。その1位は千葉Jの25勝、2位は島根の22勝。3位SR渋谷~7位のサンダーズまで21勝と5チームが同じ勝数で並ぶ。サンダーズのCS進出の可能性は十分ある。今回は、チームの好調を牽引するベン・ベンティル選手を紹介しよう。           (星野志保)

攻守共に能力の高さを見せるベンティル(2024年1月28日、三河戦/オープンハウスアリーナ太田)

「今日は集中してプレーでき、チームを助けられてよかった」

2月11日の大阪エヴェッサ戦後にこう語ったベンティル。会見場に現れた瞬間、甘くさわやかな香りが漂い、周りを包み込むような温かい笑顔で記者の緊張をほぐしてくれた。ベンティルは、人間味あふれる選手でもある。

直近10試合を見てみると、9勝1敗でチーム力が一段と上がったサンダーズ。その原動力になっているのがベンティルの存在だ。

今季、加入しシーズン序盤の10月21日の三遠戦から右大腿骨骨挫傷で全治4週間のケガを負った。彼が戦列を離れていた時のチームの成績は3勝7敗と低迷。同時期にエースのトレイ・ジョーンズもケガで戦線離脱しており、チームは苦しい状況が続いた。

しかし、12月2日のFE名古屋戦でジョーンズと共に復帰したベンティルは、徐々にコンディションを上げ、ここまでの3Pシュートの成功率47・9%と驚異的な数字を叩きだしている。リーグ戦出場の85%を満たさないため、B1リーグの3Pシュート成功率ランキングには載らないものの、1位の42・5%を超える数字だ。

ベンティル獲得の理由を水野宏太ヘッドコーチは「これまで彼がいたユーロリーグのチームは、常に国内で優勝争いをしなきゃいけなかった。だからこそ、彼は勝つために何が必要なのかを分かっている。優勝も経験している。中からも外からもシュートを打てるというのもチームの武器になると思った」と語っている。

ベンティルが3Pシュートを得意とするのには理由があった。

ユーロリーグでは、相手の守備2人がベンティルにマークにつくことが多く、ペイントエリアに入ることが厳しかった。そこで、「どうしたら自分がスコアできるのか」と模索したところ、3Pシュートの必要性に気づき、その成功率を上げていった。そのシュート力の高さが、サンダーズの勝利に貢献している。

チームのために「目標に向かって全員に自信を持たせること」を意識しているベンティルが、これまで磨いてきたテクニックと精神力で、CS進出へと導いてくれるだろう。

ベン・ベンティル

1995年3月29日生まれ、ガーナ出身。15歳で渡米。2016年のプロビデンス大学2年の時にNBAドラフトのアーリーエントリーを表明し、51位でボストン・セルティックスに指名された。その後、NBAディベロップメントリーグや中国プロバスケットボールリーグでプレーし、2019年にユーロリーグのパナシナイコス(ギリシャ)に移籍。オリンピア・ミラノ(イタリア)、KKツルヴェナ・ズヴェズダ(セルビア)でプレーした後、今季から群馬クレインサンダーズに加入。今季は29試合に出場し、平均得点16.5点、2Pシュートの成功率46.2%、3Pシュートの成功率47.9%、平均リバウンド5.0本の成績。206㎝・107㎏、ポジションはパワーフォワード、背番号50。

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