僕自身、努力している背中を見せていかなきゃいけない

パルケFC前橋 代表
福島 祐太郎

1月22日に行われた群馬県少年サッカー新人大会で、「パルケFC前橋」が2014年のクラブ創設以来初の県大会優勝を成し遂げた。元ザスパ草津(現・ザスパクサツ群馬)の選手で、このクラブの代表・福島祐太郎さん(35)が、指導で大切にしていることを紹介する。 (星野志保)

福島さんが指導の道に飛び込んだのが、全日本U―12サッカー選手権大会群馬県大会で連覇していた前橋を拠点とするジュニアチーム、ファナティコスだった。ちょうどその頃、15歳下の弟が、ファナティコスに入ることが決まっていたのもあり、福島さんは1年間、コーチとなって指導者としての勉強をした。

「初めて指導者をやらせてもらったのがファナティコスさんでとてもよかったと思っています。総監督の若林秀行さんの下で、勝負へのこだわりや練習に取り組む姿勢の大切さを学びましたから」と、現在の指導の原型を作ったのがその時代だったことを明かした。そして2014年に「パルケFC前橋」のスクールを立ち上げ、18年から群馬県少年サッカー連盟中毛地区に準加盟して大会に出場した。
福島さんは、100%全力で練習に取り組むことを子どもたちに指導している。「練習で100%の力が出せなかったら、試合で全力を出すのは難しい」と考えるからだ。「毎日楽しくやりながら、自分の力を100%全力で出し切ろう」と伝えている。それが出場わずか5年で結果を出した要因なのだろう。

福島さんが指導で一番大切にしているのは、「サッカーを通じた人間形成」。ちなみにチーム名の「パルケ」には、スペイン語で「公園」という意味がある。「公園でボールを蹴っているように、楽しくサッカーをやってほしいし、パルケでサッカーをした子どもが将来、いろんな分野で活躍してくれたらうれしい。もちろんサッカーも上手くなってほしいですが、サッカー以外にも大事なことがありますから」と人間教育にも力を入れている。

だからこそ、「『俺は指導者だぞ』と偉ぶるのは違うと思うんです。やはり選手と同じ目線に立てるかどうか。それが僕の勉強でもあり、選手との信頼関係を作る上で一番大切なこと」と考える。

さらに、「選手に『頑張れ』というだけじゃなく、自分自身、昨日の自分より今日は本当に努力できているのか、それを追求した上で、大人としても指導者としても成長していきたいんです。やっぱり指導者の情熱や熱量を子どもたちは見ていると思うんです。だから子どもたちには『一緒に成長していきたい』と伝えていますし、僕自身も努力している背中を見せていかなきゃいけないと思っています」と理想の指導者像を語ってくれた。

パルケは現在、小学生のジュニアのチームだけでなく、その上のジュニアユースからトップチームまで作ることを計画している。福島さんの人間教育を重視した総合サッカークラブができるのを楽しみにしたい。

ふくしま・ゆうたろう/

1987年10月29日生まれ、前橋市出身。伊勢崎商業高校3年のとき、背番号10番を背負い、チームを全国高校サッカー選手権大会に初出場させた立役者の一人。2006年にザスパ草津チャレンジャーに加入。07年にU-23に所属し、08年にトップチームに登録。しかし、高校時代から痛めていた左膝が悪化し手術。その後、社会人リーグやシンガポールなどでプレーするも、プロになる道をあきらめ指導者の道を選ぶ。14年にスクールを立ち上げ、18年に日本サッカー協会に準加盟。その年にミルクカップで準優勝という快挙を成し遂げた。

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