国登録有形文化財 重田家住宅(vol.38)

国登録有形文化財「重田家住宅主屋」外観

2001(平成13)年11月20日登録

「門をくぐるだけで病気が治る」といわれた医家

玉村町小泉地区にある重田家住宅は、江戸時代中期頃から代々医師を家業としてきた重田家の住居です。1950(昭和25)年3月まで当地で開業していました。初代当主・英信は播州(現・兵庫県)姫路城主のお抱え医師であり、妻は姫路城の姫君であったと当家は伝えています。家伝薬が大変よく効き、「小泉重田の門をくぐるだけで病気が治る」と言われていました。

広い敷地内にある、主屋(おもや)・穀蔵(こくぐら)・西の蔵・東の蔵・外便所・井戸屋形・表門及び塀の計7棟が国の登録有形文化財になっているほか、車庫が現存します。木造2階建の主屋は土間廻り(まわり)と背面の下屋(げや)、建具等が改修されていますが、当時の状況をよく残しています。改修建造当初の1階平面図を見ると、3室を前面と背面に配置する6間取りとし、その背面に2室を付けています。6間取りは農家の富裕層にみられる平面形式ですが、医家であることから土間を農家よりも狭くしています。患者用玄関の土間に接して待合室・薬局を設け、それらの上手正面側の「オモテザシキ」を診察室としていました。

明治から昭和にかけて建築された建物を多く残すほか、屋敷林や庭園を含む敷地全体が、地域の歴史的景観資源であるとともに、当時の地域医療の実態と医者の暮らしを知ることができる貴重な歴史的建造物群といえます。

現在の主屋は明治初年の火災による焼失後、1883(明治16)年に再建され今年で築140年を迎えました。これを記念し、町では「重田家住宅スタンプカード」を作成。令和5年度中にイベントに参加してスタンプを5つ集めると、文化財にちなんだ景品をプレゼントします。よろしければお出かけ下さい。

玉村町教育委員会 生涯学習課 課長補佐
小田澤 佳之さん
おたざわ・よしゆき/1963年高崎市生まれ。大正大学文学部史学科卒。2022年4月より重田家住宅の管理を担当。

きてみて
重田家住宅
佐波郡玉村町大字小泉42番地 0270-30-6180(生涯学習課文化財係)
開館時間:午前10~午後4時(入館は同3時半)
休館:月火曜、催事のない土日祝日、年末年始。
※臨時休館の場合もあり/見学無料/重田家住宅ひまわりプロジェクト「種まき」イベント=27日午前10時~正午(予約不要)

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