人生最高の「熟睡地」 [4日開幕した北京冬季五輪…]

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4日開幕した北京冬季五輪。テレビ中継される機会が夏の五輪競技に比べて少ない真冬のアスリートたちの闘いを見ることができるのは、冬季五輪の楽しみの一つだ。

新濱立也選手に土屋良輔選手、佐藤綾乃選手と、群馬県勢の錚々たる顔ぶれが並ぶスピードスケートに、若い世代が躍進するスキージャンプにスノーボード。どの競技も見応えがあって、チャンネルを選ぶのが悩ましい。そんな中、3連休に堪能したのが、カーリングだ。日本女子代表の「ロコ・ソラーレ」が拠点を置く北海道北見市常呂町は、個人的に特別な思い出がある場所だ。

12年前の2010年。カナダ・バンクーバー冬季五輪の取材班メンバーとなり、本橋麻里選手や近江谷杏菜選手ら、多くの代表選手を育てた「カーリングの聖地」を取材しようと、厳冬の常呂町に何度も足を運んだ。町内の民宿を拠点に歩いて20分ほどのカーリングホールを目指すのだが、オホーツク海から吹き付ける寒風とかたく凍った道路で足もとがおぼつかない。赤信号で立ち止まれずに車道に飛び出し、あやうくひかれそうになったこともあった。

取材を終えて民宿の熱いお風呂に入り、食堂で食べたサロマ湖産の肉厚なホタテフライの夕ご飯の味は、今でも冬になると思い出す。そして。窓の外に広がる真っ暗なオホーツク海の波の音を聞きながら畳にしかれた布団に入ったあの夜。私はものすごい「熟睡」を体験した。あんなに熟睡したのは、後にも先にもない、完璧な眠りだった。夢も見ずに深く昏々と眠り、目覚めたときは身体から力がわいてくるような。

カーリングを見ると、あの人生最高の熟睡を思い出す。これも冬季五輪観戦の楽しみだ。

(朝日新聞社前橋総局長 宮嶋 加菜子)

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