青空と声援と [高校野球シーズンが本格的に始まった…]

高校野球シーズンが本格的に始まった。4月16日に開幕した第74回春季関東地区高校野球大会群馬県予選。5月4日の準決勝、5日の決勝を高崎城南球場で観戦した。抜けるような青空のもと、グラウンドに響く球音、歓声に包まれるスタンド……、本当に久しぶりに高校野球の空気を吸った。

朝日新聞入社後、必死で覚えたのが野球のスコアつけだった。夏の高校野球担当となった若手記者のころ、膨大な事前準備作業に追われながら連日監督や選手の取材に各校に足を運んだ。グラウンドに入るときの緊張感、日が暮れても響くかけ声、部室や寮での球児たちの笑顔……。自分も無我夢中だったからか、今も一つ一つ鮮明に覚えている。

そんな中で、取材の楽しみとなったのは、試合中のベンチの声だ。声をからして仲間を鼓舞し、励まし、たたえる。声の出し方一つにもチームや選手の個性が表れているようで、つい耳を澄ませてしまう。時には監督の「金言」も聞こえてきて、思わずスコアブックに書き留めることもあった。群馬県予選決勝戦の白熱した試合を見た後、高松総局在任中のスコアブックを久しぶりに開いてみると、こんな監督たちの言葉が記してあった。

「自分の頭で考えろ、考えて決めろ、決めたら迷うな」「野球は努力と努力の戦いや。まだまだ向こうの方が努力しとるんや」「人生に負けるなよ。人生の戦いに負けるなよ」 今年はどんな言葉が聞こえてくるのか、今から楽しみになった。

(朝日新聞社前橋総局長 宮嶋 加菜子)

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