本物とデジタル [今春、埴輪王国群馬ならではの新名所が誕生した…]

今春、埴輪王国群馬ならではの新名所が誕生した。県立歴史博物館に新設された「デジタル埴輪展示室」で、最新技術を通して質量共に日本一という県内出土埴輪の魅力を伝えていくという。 同館を訪ね、右島和夫特別館長に設置の目的を聞いた。「多彩な展示が可能になり様々な角度から細部まで鑑賞できるようになる。より広く深い理解を促すコンテンツになるだろう」という。一方、「デジタルは万能ではなく対象を主体的に認識することが大切」と説く。
 
展示室は実物埴輪に加え、国内初の3Dホログラムや発掘体験コーナーなどがあり親子連れで賑わっていた。立体映像が空中に浮かび上がるホログラムは、普段の展示では見られない裏側も観察でき楽しい。非接触ディスプレイは手をかざすと画面の埴輪を自由に動かせるが、手の動きに反応せず焦る。が、隣の子どもはスイスイと巧みに操っている。デジタルネイティブ世代は違う。
 
本物が放つ圧倒的な存在感とデジタルがもたらす新たな発見。それぞれの良さや魅力があり、ハイブリッド展示に大きな可能性を感じた。とはいえ、最新機器を使いこなせず、展示物ときちんと対峙出来たかは心もとない。まずはデジタル音痴を何とかせねば。と反省しながら館を後にした。

(中島美江子)

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