厳冬期の幸福 [年の冬は、いつにも増して寒い…]

今年の冬は、いつにも増して寒い。去年に比べて、前橋市の自宅にいるとき、こたつで過ごす時間が格段に増えている。そして、厳冬のおかげで、こたつで居眠りする至福の時間を久しぶりに堪能している。

前橋に転勤後、早々に購入したのが電気ごたつだった。12月の着任後、夜の底冷えする寒さを何とかせねば、と思ったのがきっかけだ。暖房をつけても足元がいつまでたっても冷えている。約20年前、長野・佐久で勤務していた頃もリビングにこたつを置いて、冬を乗り切っていたのを思い出した。(そのこたつは、高松への転勤時に実家に送った)

そんな懐かしさもあって、たまっていたポイントを使って小さなこたつを買ったのだった。でも、去年はこたつに入った機会は数えるほどだったように思う。

それが、今年は違う。自宅に帰ると、まずこたつのスイッチを入れる。こたつで食事をし、お茶を飲み、たまにビールを飲み、自然な流れで、こたつに潜り込んでいく。そして、そのまますやすやと……。

小さい頃、長野の実家では掘りごたつの中に豆炭や炭を入れた「おきごたつ」を使っていた。朝一番に祖母や父が炭に火をつけて、夜寝るときに母が灰をかぶせて火を消す。遠赤外線の効果か、身体の芯まで温まった記憶がある。

こたつでうたた寝すると、そんな小さい頃の思い出もよみがえってくるようで、よりぐっすり眠ってしまう。寒さ厳しい冬ならではの楽しみになっている。

お正月に遊びに行った幼なじみの自宅は、台所を改築して立派な囲炉裏ができあがっていた。炭火の威力で暖かく楽しい囲炉裏端だった

(朝日新聞社前橋総局長 宮嶋 加菜子)

 

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