思い出す桃の味 [厳しい残暑は続いているが、スーパーに行くと秋の味覚が並びはじめており…]

厳しい残暑は続いているが、スーパーに行くと秋の味覚が並びはじめており、見るとやはり手に取ってみたくなる。今年の夏はスイカがおいしくて、いつまでも食べていられると思っていたのに、一度ブドウを食べてしまったら、すっかり秋の味に魅了されてしまった。

そんな中、最近改めておいしさを実感しているのが桃だ。この時期の桃は甘みが濃くなり、食感もしっかりしていて、秋の夜長にゆっくり食べるのにぴったり。週末訪れた金沢のフルーツパーラーでは、期間限定で黄金桃フェアが開催中で、黄金桃のパフェ、黄金桃のジュース、黄金桃のプリンアラモードと、店中のテーブルが黄金桃で埋まっていた。ジューシーな桃のおいしさを堪能してきた。

桃を食べるたび、思い出す味がある。3年前の夏、取材で訪れた中国・四川省成都の街角で買った水蜜桃だ。夏の成都は40度を超える暑さで、屋外での取材でのどが渇ききっていた。日陰を求めて入った路地裏の八百屋の店頭に並んでいたのが、見るからに新鮮な水蜜桃だった。3つ買って、1つはその場でガブリ。のどにしみいる桃の水分、優しい甘さに、まさに生き返った気持ちになった。成都の龍泉地区は水蜜桃の産地と知り、上海に戻ってからも龍泉地区産の桃を見つけては買って食べたが、あの感動の味には及ばなかった。いつか真夏の成都を再訪し、八百屋の軒先でガブリといきたい。桃を食べる度に、そんな妄想を膨らませている。

群馬産の桃。大玉だったがおいしくてあっという間に完食
金沢のフルーツパーラーの黄金桃パフェ
中国・成都の八百屋で買った水蜜桃。もう一度食べたい味

(朝日新聞社前橋総局長 宮嶋 加菜子)

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