ワンピースを通じてアーミッシュ文化と高山を盛り上げたい

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デザイナー  designer

田んぼを借りてイネ科の「マコモ」を栽培中の山中さん。着用しているのもアーミッシュワンピース

Down to Earth代表 山中 麻葉 さん(37)

【アーミッシュワンピースのオンラインショップを始める】

昨年10月に東京都杉並区から夫と高山村に移住し、生まれたばかりの娘と3人で暮らしています。アメリカの移民「アーミッシュ」の服をお手本にしたスタイルのワンピースを作って販売するオンラインショップ「Down to Earth」を夫婦で営んでいます。

高校生の時、受験で読んだ小論文で「アーミッシュ」を初めて知りました。アーミッシュは素朴な生活をして、パソコンやスマホなどに頼らず、酪農や農耕など昔ながらに暮らしている人たちです。便利さや快適さを求めている私たちとは対局の価値観を持っていると、大きな衝撃を受けました。

大学生になり、初めてオハイオ州のコミュニティを訪ねてみると、素朴で生き生きと暮らす姿に魅了され、その後も交流を続けました。そこで見た彼女たちの服がシンプルでかわいくて、スッとスタイルが良く見えることに気付き、注目するようになりました。

大都会のIT企業に通勤し、ストレスで自分自身をすり減らしていた私は、そんな生活に疑問を感じていました。そこで30歳で思い切って退職。ワンピースのブランド「Down to Earth」を立ち上げました。「有名な大学に行って、大企業に就職するだけが幸せではない」「もう一つの生き方があるかもしれない」と何度も自問自答した末のことです。

起業に当たり、自身の強みは「やっぱりアーミッシュへの深い興味だな」と気付き、アメリカの現地で、「かわいいワンピース」に出会った感動を思い出しました。「アーミッシュの生き方や文化をワンピースを通して伝えていきたい」と早速、商品化に取り掛かりました。

【オーダーメイドのワンピース】

アーミッシュから服のパターンをもらい、日本人の体型や好みに合うように工夫しながら、しかもオーダーメイドで商品を作れないかと取り掛かりました。ハイウエストのシンプルなワンピースが基本形です。その上で一人ひとりに合うように、色や柄、サイズはもちろん、襟ぐりや裾たけ、ポケットの有無などをカスタマイズできるようにしました。

オーダーメイドのワンピースをオンライン上で購入できることは珍しく、魅力を感じてくださる方も次第に増えました。身長が小さいので丈を短くしたい、バストが大きいのでゆるくしてなど、体型の特徴をメールでやり取りしながら服を選べます。

「着心地が良く、体に合っていて気に入りました。自分に自信が持てそう」「洗濯機で洗えてアイロンがいらないワンピースが大好きです」などの声も、次第にいただけるようになりました。ワンピースの種類は増え、エプロンやジレ(ベスト)など商品も多くなりました。

【夢はアーミッシュビレッジ】

高山村では、同年代や同じ時期に移住して来た人、散歩をして知り合った人などと家族一緒に交流し、友人も増えました。新参者ですが、村を若い世代で盛り上げたいですね。皆さんとお話しすると、村のことも少しずつ分かってきました。子育ては大変ですが、楽しい毎日です。

将来は、ワンピースのショールームができたらいいですね。そして、ヤギやウマを飼い、畑を耕して自給自足のスローライフができる「アーミッシュビレッジ」を作れればいいなと大きな夢を描いています。一緒にやりたい人、いませんか? 仲間も募集中です。(聞き手・谷 桂)

1984年生まれ、東京都出身。2021年から高山村在住。高校生のとき、アメリカの移民「アーミッシュ」の存在を知り、そのライフスタイルと価値観に強く魅了される。その後、アーミッシュのコミュニティを訪れ、ウェブなどで発信。15年にアーミッシュの服をお手本にしたワンピースのブランド「Down to Earth」を立ち上げる。以来、シンプルで機能的なワンピースを通じてアーミッシュの文化を紹介する。著書「アーミッシュカントリーの美しい暮らし」。

 

【Down to Earth】の様々なワンピース

①夏に人気のサッカー調生地、ネイビーの半袖
②薄手のリネン生地の半袖
③秋冬に人気の厚手、ボタニカル柄の七分袖
④使いやすいネイビーの小花柄、ストレッチ生地
⑤トラディショナルアーミッシュドレス、人気のブルー

 

★Down to Earthの商品もこちらから↓
お店に行かなくてもウェブサイトから購入できる「ぐんま福まるしぇ」

「朝日ぐんま」は、オンラインショップ「ぐんま福まるしぇ」を開催しています。記事で紹介した群馬の素敵なものを購入できます。
 https://fuku-01.stores.jp/

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