「考えて行動に移す」選手の言葉から育成を考える

考える力を養い、それを行動に移すことが選手を育成する上で大切だと、これまで多くの選手や監督を取材して実感したことだ。今回は「番外編」として、4選手の言葉から考えてみたい。(星野志保)

■利根商野球部 内田湘大

今月20日のドラフト会議で広島東洋カープから2位指名された利根商の内田湘大。「わからないことがあると、人から教えてもらったり、いいなと思ったら、見たり、聞いたり、真似したりと、いろいろ試していました。この人のこういうところが良いと話しかけて、どういう考えを持っているのかを聞いて、真似しようと思っていました」

指導した同校の福田治男監督もこう語る。「その日の練習や試合結果を反省しながら、自分の野球に必要な能力を蓄えていった結果が、広島からの2位指名になったんじゃないかと思います」

広島東洋カープからドラフト2位指名された利根商の内田湘大(2022年10月20日、利根商校内にて)

■福岡大大濠バスケットボール部 川島悠翔
前橋市出身で、現在、バスケットボールの名門校である福岡大大濠に通う高校2年生の川島悠翔。1年時に出場したウインターカップでチームを優勝に導き、今年6月のFIBA U16アジア選手権大会日本代表として日本を準優勝に導き、大会MVPを獲得。U18日本代表にも選出されるなど、NBA選手になる夢を叶えるために努力を惜しまない。群大附属中時代は、無限No Limit(現NLG INFINITY)というクラブチームに所属した理由をこう語っていた。「ポジションも決めずに自由にやらせてくれるので、自分の能力が生かせると思ったんです。プレーしていて縛りがないのが一番楽しいし、失敗しても叱られないので挑戦できるんです」

■前橋育英野球部 清塚成
今夏、前橋育英野球部の4番として、扇の要としてチームを支えた清塚成。春季大会の途中からレギュラーとなり、努力が実って最後の夏に正捕手と4番をつかみ取った。特進コースに通っているため、授業が終わってグラウンドに行くと全体練習が終わっていることもあり、チームメイトより圧倒的に練習時間は少なかった。その問題を解決したのが考える力と向上心だ。「監督やコーチが他の選手に指示していることを聞きながら自分の中でかみ砕いて理解したり、試合に出ていない時も、自分だったらどうプレーするかを考えながら見ていました。『何がよくて、何が悪いのか』と、自分の直すべきポイントを毎日検証しながらやっていました」

■トロント・ブルージェイズ 菊池雄星
埼玉西武ライオンズで初めて開幕投手に選ばれた2016年の開幕1週間前に菊池雄星(岩手県出身・現トロント・ブルージェイズ)が語ってくれた言葉を紹介しよう。「僕は知識と情熱のどちらかを選ぶんだったら、情熱をとった方が伸びると思うんです。今はいろんな情報をキャッチできる時代ですが、まずは方法とか効率を求めるんじゃなく、まずはハードワークに耐えられるマインド。色々な情報があふれているからこそ、あえて遠回りをするじゃないけど、自分で考えて、とにかく量をこなしていく。量からしか質は生まれないと思うんです」

 

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