管理栄養士の木村さん、農業女子へ転身 (vol.2)

農業カメラマン網野文絵のKnow Life vol.2

 

管理栄養士から農業に転身した木村さん

今回は、桐生の就農間もない農業女子をご紹介します!

病院や介護施設で管理栄養士として12年勤めた木村理絵さん(34)。現在は父と祖母と共に桐生で農業を営み、畑の前に直売所を作って採れたて野菜を販売しています。

管理栄養士というお仕事から突然ジャンル変更した理由は、今から3年前に発覚した彼女の病でした。医者から「悪性の可能性もある」と言われて初めて、30代の自分が普通に生きているのは当たり前じゃないのだと感じたそうです。

最終的には手術をせずに済みましたが、あの時「人生に悔いのないよう今を生きよう」と決意したのだと笑顔で語ってくださいました。

「まだやりたいことがある自分が、長く生きられなかったら…死んでも死に切れない!」と、彼女は2018年に会社を辞め、夢に終わるはずだった海外生活を半年間行います。

続いて、「彩りあるものに囲まれた自分の居場所を作りたい」という夢を叶えるために桐生へ戻りました。そこで一番に思いついたのは、色とりどりのお花が並ぶフラワーショップ。・・・だったのですが、家の畑をふと見てみると、おばあちゃんの育てる野菜が目に止まりました。木村さんはすぐさま畑の前に大きなパラソルとレンガで小さな野菜直売所をこしらえました。これが彼女の農業生活の始まりです。

木村さんの畑で育った里芋の葉を撮影した作品「葉っぱのしまうま」―太陽が当たった里芋の葉っぱ。葉脈がくっきりと浮かび上がった。縞模様に見惚れていたら、今度は影がしまうまの横顔に見えてきた(網野文絵)

木村さんの行動の一連を見ていた母親は、「長く続かないと思っていた」と語ります。農業をよく知っている家族だからこそ、管理栄養士という全く違う生活スタイルだった娘が農業になじむことはないと考えたのです。

しかし予想とは裏腹に、彼女は家族に教わりながらカラフル野菜を育て、パッケージ開発やハーブティーの試作などもスタート。今後は管理栄養士としての技術を生かし、野菜の破棄した部分を使って栄養豊富なオリジナルベジブロス(野菜から取るダシ)を作る目標も待っています。

農業を始めて一年が経った今、未だに木村さんが直売所にこだわる理由は、「お客様が欲しい野菜をすぐに収穫できるから」。時にお客様の要望に合わせ、畑まで走っていき野菜を収穫しているそうです。

改めて話を聞くと、ちょっと前まで管理栄養士だったとは思えないほど農業に詳しくてビックリします。彼女にとって農業は、生きている実感そのものなのでしょう。話しているときの表情と言葉には嘘がなく、笑顔の裏からは意志の強さが伝わりました。

居場所を作る夢は始まったばかりですが、将来たくさんの人が彼女の畑に集まる姿が目に浮かんできます。

あみのふみえ

前橋市の農業関連会社に勤務する傍ら、週末農業カメラマンとして活動。もともと大のトマト嫌いだったが、農家さんや畑に触れてトマトを食べたいと感じた。新たな視点で野菜をみることの楽しさ・不思議さを追求している。

 

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