「自己表現」の春なるか? [今年の4月は、いつにも増して慌ただしい。4年に一度の統一地方選挙の春、…]

今年の4月は、いつにも増して慌ただしい。4年に一度の統一地方選挙の春、群馬県は前半に県議選(4月9日投開票)、後半に8市町村での首長選、21市町村での議員選(いずれも4月23日投開票)と、全国でも有数の多くの選挙が実施される県だ。

選挙報道の原則は「正確で公平公正」。県内の記者たちは去年の秋から準備を本格化させ、様々な企画記事にも取り組みながら「選挙の春」を迎えている。選挙報道は緊張の連続だが「一人でも多くの人に投票所に足を運んでもらいたい」という思いで記事を発信している。

そんな気持ちで迎えた県議選投開票日の4月9日夜。県選挙管理委員会から発表された投票率を見て、ショックを受けた。 ――39・51%

県議選の投票率は1979年以降下がり続け、低下に歯止めがかかるか注目していたが、今回初めて4割を割った。そして11回連続で戦後最低更新となった。

県議の仕事は、市町村議員や国会議員と比べて「分かりにくい」という声をよく聞く。全国では議員の「なり手不足」も指摘され、今回の県議選の立候補者数は過去最少となり、18選挙区の半分で無投票となった。4年に一度の「選挙の春」を肌で感じている人は、実はとても少ないのかも知れない。新しい形の選挙報道について考えさせられる数字だった。

「投票は自己表現だ」。今回の統一選のスローガンが書かれたのぼりを見ながら、後半戦に向けての準備を始めている。

県議選の投開票日翌日、天気は晴れ。すっかり新緑の季節到来だ

(朝日新聞社前橋総局長 宮嶋 加菜子)

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